Act.14 貴方と共に…(R15)



お互いの熱が絡み付き甘い拘束に悦びの声を上げる。

もっと、抱きしめて欲しい。

もっと、私を愛していると囁いて欲しい。

もっと、貴方が欲しいと私に感じさせて…。

「忍、私を離さないで…。」と何度もうわごとの様に彼に強請る。

溢れる涙を唇ですくい、優しく微笑みながら忍は自らを深く繋がらせる。

全てを貴方で満たして欲しい。

この手も、心も、微笑みも、全てが私だけのモノだと思わせて…!

何度目かの熱が全てを包んだのを感じながら、夏流は深い眠りに落ちた…。

目覚めた時、側で彼が微笑んでいる。

今迄見た彼の笑顔の中で一番嬉しそうだ。

恥ずかしくなって視線を逸らそうとする私を、腕の中に拘束した。

甘い束縛。

「…夏流。

一緒に暮らそう。

今すぐに結婚してくれとは言わない。

夏流の気持ちが俺との結婚を望んだときでいいから…。

だけど側にいて欲しい。

駄目か…?」

遠慮がちに囁く忍が可笑しくて、夏流はくすりと声を漏らした。

そんな夏流に「何が可笑しい?」と少し拗ねる。

笑いながら忍の背に腕を回し身体を密着させる。

忍の胸元に頬を寄せ、赤く頬を染めながら一言「うん」と答える。

夏流の言葉に破顔しながら「肯定と取っていいんだな?」確かめる様に言葉を紡ぐ。

「早速、今週末にでも引っ越ししよう。

夏流は今のマンションの解約を明日にでもしてくれ!

俺も明日職場に、土日、有休を取れるか交渉する…!

ああ、やっと、一緒に暮らせるんだ!」

子供の様にはしゃぐ忍の様子に夏流は声を立てて笑った。

その後、私は忍と一緒に暮らし始めた。

お互いの価値観も習慣も違うので、戸惑う事も衝突する事も、しばしば。

喧嘩も沢山した。

その度私は美咲に、そして忍は透流君に愚痴り、呆れられ、戒められた。

泣いて笑って、そして、愛して愛されて。

優しい時間が過ぎていく中、私は忍と今日、結婚する…。

「お母さん。

私、今日、成月夏流になります。

これからの人生、彼と共に歩み幸せになります。

お母さん…。

貴女の娘として生まれて、私は幸せです…!」

見せたかったウェディングドレス姿。

貴女の瞳に映される事は無いけど、でも、私は貴女に見せたかった…。

側で忍が慈しむ様に微笑んでいる。

「さあ、行こう、夏流」

「ええ」

沢山の祝福の中、私は忍と永遠の誓いをたてた…。



数年後…

「お母さん。

今日は何を作ってくれるの?」

「私、カレーがいい!」

「僕はオムライス!」

「はいはい、じゃあ、お昼はオムライスにして、夜はカレーね!」

「やったー。」

「楽しそうだな」

「あ、お父さん!」

「お帰りなさい、お父さん」

「あら、今日はもう終わり?」

「ああ、患者さんがいないから、今日は午後から休診。

みんなでご飯を食べた後、海に行こう」

「やったー!」

「さて、海に行く準備♪」

「夏流…」

「なあに?」

「今、幸せか?」

急に問われた忍の言葉に、私は満面の笑顔で微笑み言葉を返した。

「ええ…」





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