始まりの詩 その1(R18)




豪さんに初めて抱かれた、あの日から1週間が経った。
先週の月曜、彼にマンション迄送って貰った時、彼に耳元で囁かれた。
また、今週の土曜の朝に迎えに来る。

その途端、自分の顔がどんな風だったのかは想像がつかない程、赤く染まっていた…。

そして、今日、その日が来た…。

「ああ、もう、どんな顔で豪さんに会えばいいの?
は、恥ずかしくて視線を合わせる事なんて出来ない!」

先週の日曜日の豪との行為を思い出し、夏流は耳元迄真っ赤に顔を染め上げた。
全ては初めての体験であった。
指先で優しく触れ、身体の線を辿る様に愛撫され、そして思考が途切れる程の快楽に身を焦がした。

女として初めて迎えた絶頂に、目覚めた時の混乱…。

官能を引き出す豪の愛撫に翻弄されたあの夜。

そして激しく求められたあの…。

考えれば考える程、恥ずかしい痴態を豪に見せた、と夏流は心臓をばくばくさせながら、マンションを後にした。
玄関から少し離れた場所には、既に豪の車が止まっていた。

車のドアを開き、助手席に座る夏流の頬が仄かに赤く染めている様に豪は微笑みながら、言葉をかけた。

「おはよう、夏流。」

「…おはようございます」

顔を真っ赤にさせ、俯きながら小さな声で挨拶をする夏流に、豪は苦笑を漏らす。

「…どうかしたのか?」

「…な、なんでもありません」

「何でもないって、顔が赤いけど」

少しからかいを含めた口調に、夏流がもっと顔を赤く染め上げ、豪の視線を逸らす。
もしかしてあの夜の事を思い出していたのか?と雄弁に語ってる夏流の表情の初々しさに豪はくつくつと喉を鳴らし笑った。

あの日、自分でも驚く程、情熱的に夏流を抱いた。

吐息を漏らし自分の愛撫に悶える夏流が愛おしくて、最後には理性を無くす程、SEXに溺れていた。

今でも夏流の鼻孔をくすぐる甘い香りに身体が反応する。

欲しい、と思う自分の性急な感情に豪は心の中で笑った…。

「夏流…」

隣に座る夏流に身を寄せ、優しく髪を梳く。
艶やかで柔らかい髪に触れながら、そっと唇を寄せる。

ぴくり、と身体を震えさせながらも豪のキスを受け入れる。

啄む豪の唇の熱さにふと、夏流の吐息が零れる。
その隙に唇を深く合わせ、夏流の舌を捕らえ絡める。

官能的な豪のキスに夏流はただただ奔走されるばかりだ。
頬を上気させ、指を震えさせながら豪のセーターを握りしめる夏流の反応の可愛らしさに豪は目を細め、もっと夏流を求めていく。

ぴちゃり、とワザと音を立て夏流に聞こえる様に舌を絡める豪の行為に、夏流はもっと頬を上気させ目を潤ます。

視界が揺れ意識が鈍くなる自分に戸惑いを隠せない。

「あ…」と言う吐息に、キスの合間に零す甘い声に増々、豪の身体が反応する。
髪を梳いていた指先が、肩に触れ身体の線を辿る。

もっと、追いつめたい…、と豪は急に夏流が座っている椅子のレバーを押し、椅子を倒した。
体が倒される感覚に今迄鈍っていた思考がクリアになる。
強引な豪の行動に夏流は目を見開き、豪の身体を押す。
そんな夏流の唇を解き、艶やかな声で夏流に囁いた。

「もう少し、夏流に触れたい」

「でも、こんな所では…、誰かに見られたら、イヤ!
だから、やめて…。」

まだ回りは薄暗く、余り人通りの無い場所で、車を止めている。
マンションから少し離れた場所であっても、何時、誰かが通るかもしれない。

「いや…!」

羞恥で顔を真っ赤にさせ頚を振り、豪の行為を拒む夏流の頬に手を添え、視線を捕らえる。
自分を求める感情を隠す事なく、夏流に注ぐ豪の視線の熱さに夏流の視線が揺らぐ。

「ご、豪さん…」

「済まない。
でも、夏流が欲しい…!」そういいながら、また夏流の唇を塞ぎ、身体に触れていった…。

薄暗い視界がだんだんと明るくなっていく。

日が昇る様を潤む視界で捕らえながら夏流は豪の行為が、大胆になっていく様を受け入れていた。
ブラウスのボタンを外し、キャミソールをたくし上げ、手でブラを押し上げ直に触れる。

指先に力を入れ胸の柔らかさを堪能する豪の唇から吐息が零れる。
その都度、自分の身体の奥に沸き上がる官能が夏流を思考を鈍らせると同時に、不安を齎す。

今、この行為を人に見られたら…。

夏流の考えを察したのか、豪が胸を愛撫しながら夏流に囁く。

「誰にも見えないから、心配ない。」

それよりもそんな余裕を持たせない程、夏流にもっと快楽を感じさせたい…、と豪は夏流の耳元で甘く囁く。
豪の言葉にかぶりを振り、何度もやめる様に促す。

夏流の言葉を聞きながらも、求める気持ちを抑える事が出来ない豪は、心の中で嗤っていた。

(今迄、女を求めるのに場所も考えず欲しいと思った事なんて無かった。
夏流の不安がる気持ちを充分解りながらも、自分の性的本能を抑える事が出来ない。

こんなに理性を狂わせる事等、無かった。
これ以上、求めたら夏流を悲しませる事を解っている。

だが、もっと、夏流が欲しい。

いい大人がなんて様だ…。)

心の中で舌打ちしながらも、理性で停めさせる事が出来ない激情に豪は従った。

唇に含まれる様に触れられ、時折甘く噛まれる感覚に夏流は豪の髪を掴み、快楽をやり過ごそうとしていた。
夏流の思考は既に完全に墜落され、豪の愛撫に身を任せていた。

そんな夏流の痴態を胸から顔を上げ見つめる豪の目には、官能の光が宿っていた。

(なんて綺麗なんだ…。
頬を薔薇色に染め上げ、浅く息を吐き目を潤ませている。

ああ、俺が夏流に女としての顔をさせているんだな…。
俺だけが知ってる夏流の「顔」)

もっとこの顔を見つめたい…、と豪は胸を触れていた片方の手を夏流に大腿に這わせ、下肢に触れていく。

既に湿っている場所に豪が触れていると解った途端、夏流は意識を戻し、目に涙をぼろぼろと溢れさせ嗚咽を零し始めた。
急に泣き出す夏流に気付いた豪は、流石に自分の行為が行き過ぎた事を感じ入り、夏流の衣服を整え始めた。

「済まなかった、夏流。

俺が性急過ぎた…」

と自分に謝罪する豪の表情を見て夏流は目を見開き、息を呑む。

自分が豪の髪を掴んでいた所為で乱された前髪から覗く瞳は、何時もの穏やかさを失い、男の本能を隠す事無く自分を見つめ捕らえている。

壮絶な色気をかもす豪の艶やかな様に、夏流は心が震え、体を萎縮させる事しか出来なかった…。


豪の大胆さに苦笑しか出ません(爆笑)
まだまだ、続きますので良かったらご覧になって下さいね。
しかし、豪さんは本当に手が早い(苦笑)




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